矢作川

川名が語るふるさとの歴史

川名の由来新川 しんかわ

2016.05.30

<春日井市-小牧市-豊山町-北名古屋市-清洲市-海部市との境界-名古屋港>

川名の由来
 人口の新しく造られた河川。人工河川であるため濁音をつけず、“しんかわ”と読む。

河川概要
 名古屋市北区楠町の庄内川からの分派点を上流端とし、ほぼ庄内川の右岸を並行して南下し、伊勢湾に注ぐ一級河川。流長24.27km・流域面積245.4㎢。
 新川はその名の通り、新しく造られた人工河川で、新川流域内の主要河川である大山川、合瀬川、五条川は、もともと庄内川に直接流入していたが、庄内 川の河床上昇に伴う堤防決壊の防止と支川の排水状態改善のために、これらの河川を直接海へ導くよう、天明7(1787)年になって新川開削が行われ人工河 川を築いたとされている。
 この新川には、五条川を始め、青木川、合瀬川、大山川及び新地蔵川等、22の一級河川が合流し、伊勢湾に注いでいる。

新川流域の概要
 一級河川庄内川水系新川の流域は名古屋市の北部に位置し、木曽川及び庄内川に挟まれた樹枝状の形をした流域で、北東から南西に向けて緩く傾斜している。
  この地域の河川は、北方から木曽川の緩扇状地と自然堤防の発達している氾濫平野が展開し、この中を旧河道に沿う多くの流路を集めて五条川が流れ、東方から は低い台地を経て大山川等が貫流するとともに、庄内川の人工派川である新川に集められ、低地の中を延々と流下し、伊勢湾に注いでいる。
 新川流域は、名古屋市を含む15市町(名古屋市、一宮市、春日井市、犬山市、江南市、小牧市、稲沢市、岩倉市、清須市、北名古屋市、あま市、豊山町、大口町、扶桑町、大治町)にまたがっており、新川を含めて23の一級河川が存在している。
 こ の流域は中京経済圏の中心をなす名古屋市の一部または隣接地域であり、かつ交通の便に恵まれていることから、近年著しく流域開発が進み、保水機能を有して いた上流部の丘陵地や自然の遊水機能を有していた沿川地域にも人口及び資産の集積が進み、流域面積約250㎢の約60%が都市化されている。

人口排水路設置の歴史
 庄内川の治水事業は、慶長15(1610)年徳川義直の名古屋城築城と共に始まったと言われており、同19年に現在の堤防位置に堤が築かれた。その後、庄内川下流部右支流の合流点付近の湿地の改善と、庄内川下流部の洪水被害軽減等を目的に、新川の開削及び新川洗堰の築造をはじめとする「天明の治水」(1784年)が行われた。
 江戸期庄内川の幾多の氾濫に対する住民からの尾張藩への嘆願と連続する水害により、藩は参政人見弥右衛門・勘定奉行水野千之右衛門らに、新川開削の工事を命じた。天明4(1784)年味鋺村・大野木村境の庄内川堤防を、上辺約73m・下辺約55mの間口で堤防の中程まで切り下げて洗堰とし、新たに開削した分流川へ排水する工事に着手、天明7年完成に至ったと言われている。工事は、 洗堰からあふれた水を一度大蒲沼(北区大我麻町)に落とし、江松村(中川区富田町)あたりから曲げて再び庄内川に合流するまでの区間約20kmを、湿地帯や庄内川旧河道などを利用しながら川幅60~70mを掘り下げる大工事であった。喜惣治新田・大蒲新田などの池沼地帯の水を海に落とすことも工事の大きな目的であった。
 文政2年比良堤(師勝町久地野)に、新川沿いの28区村の住民が水野千之右衛門の功績をたたえて碑をたてた。

その後の改修経過
 その後、庄内川河床の上昇によって新川への流入量が増加し、堤防が弱体化したため、明治16年大改修、昭和2年以後改良計画に基づく工事が実施され、新川を直接伊勢湾に流入させる。
 近年では、昭和57年に新川流域治水計画を決定、平成3年を目途に、毎時雨量50mmに対応できるように河川を改修、さらに新川治水緑地など遊水施設6ヶ所と放水路を新設することにした。
 また、平成12年9月の台風14号及び秋雨前線がもたらした東海豪雨による洪水は、既往最大流量を記録し、派川新川の破堤などにより、水害区域面積10,487ha、被害家屋34,049棟となる甚大な被害をもたらした。それにより、庄内川及び新川では、河川激甚災害対策特別緊急事業により、河道の掘削、堤防の補強、橋梁の架け替え等の整備が進められた。

新川洗堰の構造
 楠村と山田村の境の庄内川の右岸堤を切り落とし、延長40間(約73m)の築造とし、庄内川の洪水が五合(半分の高さ)を越えるようになると流れる高さとした。構造は木枠を組み、石籠を並べ両側は石積みとしている。引用文献:『角川日本地名大辞典』他
 現在の洗堰は、東海豪雨の被災後、庄内川下流部の河川改修が行われ、堰は1mの嵩上げがされ、新川への越流量が大幅に軽減された。
 新川治水緑地は、新川・新地蔵川から越流堤をかいして、洪水を一時貯留して新川本川を流下する流量を低減させる遊水地で、平時はグラウンドや公園として使用されている。
 現在は、庄内川と新川の流域面積及び延長が大きく異なり洪水到達時間に差が出来るため、庄内川洪水が越流する前に治水緑地へ到達した新川の洪水を先に貯留することが可能となる。つまり、先に到着時間の早い新川の洪水が流入し、遅れて庄内川から越流した洪水を流入させる2方向から流入する複雑なメカニズムとなっている。